今月のgood2023.03
安全な水とトイレを世界中に
1.

みんなが知らない
水のサステナビリティ

「世界水の日」に因んで「水」について理解を深め、
世界に安全な水を届けよう!

1992年12月の国連総会において、毎年3月22日は「世界水の日(World Water Day)」として定められました。世界ではおよそ21億人の人々が、必要な時に自宅で綺麗な水を飲むことができず、およそ45億人もの人が安全に管理されたトイレを利用することができません。「世界水の日」はこうした水不足に悩む人々へ、どうしたら安全できれいな水を届けることができるのかを考えるきっかけになる日です。我々の生活に密接に関わる「水」について考え、行動を少しずつ変えることで、goodな地球へと繋いでいきましょう。

くらしと水

水の飲み方は大切

人間の体にとって水を飲むことは非常に大切です。ここでは、私たちの体の1日の水分排出量と摂取量をふまえて、生活の中でどのようなタイミングでどのように水を飲めばよいか、 一例を示します。

水を飲むタイミングと量(1日の摂取量の目安)

私たちの体は成人で体重の約60~65パーセントが水分で構成されています。この水の働きで、栄養素や代謝物の運搬、体温の調節などが行われ、生命の機能が保たれています。健康を維持するのに毎日水分補給をする必要があるのは、このためです。
成人が1日に排出する水分の量を合計すると、約2.5リットルにもなります。主な排出分は、不感蒸泄(汗などとして感じなくても皮膚や呼吸を通して水分が失われていること)として約0.9リットル、尿や便として約1.6リットル。 普通に生活をしていても、1日の排出量とほぼ同じ、約2.5リットルの水分を飲食物から補給する必要があります。平均的な食事で約1.0リットル、食べ物を分解してエネルギーを得る際にさらに0.3リットルの水分を摂取できるので、残りの約 1.2リットルを飲料水から摂取することになります。
この摂取量と排出量のバランスがくずれると、さまざまな症状があらわれます。水分が不足すると、脱水症や熱中症の原因になることはよく知られています。また、過剰に摂取した場合、水中毒という症状が引き起こされ、内臓に負担がかかり体がだるくなったり消化不良を起こしたりすることがあります。これは体内のナトリウム濃度が低下するためで、ひどい場合は死に至ることもあります。一度に大量の水を摂取しないよう注意が必要です。

1.朝起きたとき

朝起きたときの私たちの体は、寝ている間に皮膚や呼吸を通して水分を失い、水分不足に陥っている状態です。血液中のミネラル濃度も高くなっているため、朝一番の水分補給は重要であると考えられます。

2.スポーツをするとき

一昔前は、運動中に水分をとると疲労が増すと言われていました。しかし運動中には大量の汗をかき、水分はもちろんナトリウムなどのミネラルも体から失われてしまいます。体重の2%の水分を失うと軽い脱水症状に陥り、動作反応の低下や食欲喪失などの症状があらわれます。適切に水分補給をしないと、熱中症や熱けいれんを引き起こしかねません。ミネラルや糖分を十分にとる必要がある場合はスポーツドリンクを、糖分濃度を抑えたほうがいい場合はスポーツドリンクをミネラルウォーターで薄めたものを摂取するとよいでしょう。

3.入浴時

入浴による発汗で、私たちの体は水分を失っています。入浴後には水分補給をすることが大切です。

4.就寝前

朝起きたときと同じように、就寝前の水分補給も大切。睡眠中の水分不足による血液中のミネラル濃度の上昇を防ぐと考えられています。

冬もこまめに水分補給を

冬は夏のように汗をかかず喉の渇きも感じにくいため、水を飲む機会が減りがちです。そんな冬でも、皮膚や呼吸を通して水分は体の外に出ています。また、冬は空気が乾燥しているので体内の水分が失われやすい環境なのです。知らずしらず水分不足にならないように、こまめな水分補給を心がけましょう。体が冷えないように、温かい白湯を飲むのもいいでしょう。

世界の水文化

水の都

水の都と呼ばれる国際都市は、恵まれた水利によって水運を発達させ、貿易によって成長を遂げてきました。 水のもたらす富は、チャンスを求めた人々を 国内外から集めただけでなく、たびたび他国から侵略の対象にもなりました。このため、城塞を築いたり、 海軍 (水軍) を置いたりといった都市防衛が 必然的に強められました。 そして人々は、ときに水がもたらす災害からも、 都市を守らなくてはなりませんでした。場所が変われば水の味も変わるように、それぞれの水の都によって、水のもたらす恩恵と災害とのつきあい方には違いがあります。そこには、歴史や環境、 そして住民性といったそれぞれの水の都の個性が現れています。

水の化学

氷・水・水蒸気・・・水の三態

私たちは日常の中で、 水を冷やせば氷になり、氷に熱を加えると水に戻り、 さらに熱を加えていけば水蒸気になることを当たり前のように体験しています。しかし、水は人為的な作用を加えずに、 自然条件の中でも固体、液体、気体と姿を変えることができます。 私たちにとって、 水ほど当たり前のものもありませんが、実は水ほど不思議な物質もありません。 水のもつ能力や謎には、いまだ解明できていない部分があります。

水と環境

日本の水資源

世界には深刻な水不足に苦しむ人々がいます。蛇口をひねれば容易に水を得られる日本にいると、その深刻さを実感しにくいかもしれません。しかし、その日本とて決して水が豊富にある国とはいえないのです。事実、 降水量は年々減少傾向にあり、毎年のように、各地で水不足も起こっています。では、私たちが暮らす日本には、いったいどれだけの水資源があるのでしょうか。私たちができることはなにか、 具体的に考えてみることにしましょう。

私たちが暮らす日本の水資源は?

私たちが暮らす日本は、湿潤なモンスーンアジアの東端に位置しています。世界(陸域)の年平均降水量が約810ミリメートルなのに対し、日本の年平均降水量は、およそ2倍の1690ミリメートル。これだけ聞くと、「水環境に恵まれた国」という印象ですが、この降水量に国土面積をかけて全人口で割り、人口1人あたりの年平均降水量を算出すると、日本の場合1人あたり約5000立方メートルとなり、世界平均1人あたり約16400立方メートルの、わずか3分の1程度ということになります。
しかも、日本の国土は3分の2が山地。河川が急峻で流路が短く、降った雨はすぐに海へと流れ込みます。雨量も季節によって偏りがあり、太平洋側では梅雨時や台風シーズンに降雨が集中するため、降水のかなりの量が洪水となってしまいます。結果的に降った雨の大部分が水資源として利用されないまま、海に流出してしまうのです。梅雨時や台風シーズンには水害が発生し、それ以外の時期には水不足になる―これは、わが国が毎年のように経験していることです。事実、過去40年を振り返ってみても、渇水(※1)が発生しなかった年はなく、特に昭和42年、48年、53年、59年、60年および平成6年には、多くの地域で渇水による深刻な影響を受けました。さらに、近年は降水量が減少傾向にあるだけでなく、少雨の年と多雨の年の、年降水量の開きも大きくなっており、安定的な水の確保がますます難しくなってきています。降水量が多いとはいえ、けっして水環境に恵まれているとは言えないのが現状なのです。

私たちが使う水の量を調べよう

体を維持するための飲み水をはじめ、炊事、洗面、風呂、トイレなど、現代人は日常生活のあらゆる場面で、大量の水を使っています(※2)。
東京都を例にとると、家庭で使う1人1日の水量は平均して約240リットルです(平成19年・東京都水道局調べ)。公衆トイレや公園の噴水、ホテル、デパートなどの公共・共有の水(都市活動用水)を含めると、1人1日約330リットルにも及びます。
水は文化のバロメーターといわれます。いわゆる文化的な生活になればなるほど、多くの水が必要となるからです。ヨーロッパ、北米、アフリカ、アジア、南米、オーストラリア・オセアニアの6地域の生活用水の使用量を較べてみると、もっとも少ないのがアフリカで1人1日わずか63リットルですから、日本は約5倍もの水を使っていることになります。人口1人あたりの年平均降水量が少ない日本でこれだけ高い水準の生活用水を確保できる背景には全体的な水の利用効率が高いこと、食料生産の多くを海外に依存していることなどが挙げられます。ちなみに、もっとも多い北米では約7倍の1人1日約425リットルとなっています(※3)。一方、世界保健機構(World Health Organization: WHO)によれば、人が「人間らしい生活」を営むためには、最低1日5リットルの水が必要だとされています。この量は水環境に恵まれず、ギリギリの水量で生活する場合を指しますが、事実、世界にはこのギリギリの水で暮らしている人が大勢いるということも忘れてはなりません。日本でも、特に渇水時には、水需要が逼迫するため、少しでも水使用量を減らす努力が必要となってきます。また、平常時においても、水道水を利用するには、取水・浄水処理・配水・下水処理の過程でエネルギーを要し、水の無駄遣いはエネルギーの無駄遣いにつながります。水使用量を減らし、エネルギー消費量を減らすためにできることを、私たち一人ひとりが考え、実行する必要があるのではないでしょうか。

※webサイト サントリーのエコ活「水大辞典」から引用

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